【素材】
(本・記事・章タイトル・著者など)
韓非子 二柄第七
【引っかかった点】
(引用 or 要約を1〜3行)
官を侵すの害は寒きより甚だしと
【最初の反応】
(読んだ瞬間に浮かんだ感情・思考)
言いたいことはわかるが、それで良いのか?
【なぜ引っかかったか】
この文は、あるところに冠係と衣服係がいて、それぞれ、君主の冠と衣服を管理する仕事をしていた。
君主が居眠りをしていると、冠係が、気を遣って衣服を君主に掛けた。
寒そうだったからだ。
そのことについて君主はどうしたかというと、冠係と衣服係を処刑した。
理由としては、
・衣服係は、衣服係の仕事が出来ていなかったから。
・冠係は、冠係の職務から離れ、衣服係の仕事をしたから。
職域版【過ぎたるは猶及ばざるが如し】である。
理屈は分かるが、どうにもひっかかる。
【今の仮結論】
(今の段階での整理)
この章で韓非子が言っていることを簡単にまとめる
①君主は、刑罰と恩賞の権を臣下に委任してはならない。
②臣下の評価は実績ではなく、言った事を守ったかどうかで評価しろ。
③臣下の職域を絶対に守らせろ。越権を許すな。
④君主の考えや好みを臣下に見せるな。
まとめると以上になる。
やりたいことは分かる。
自分の地位を守りたいならば、ここまで徹底すれば守れるかもしれない。
①はどうだろうか?
①を堅守すれば、君主の威は保たれる。しかしながら、国を維持するための刑罰と恩賞の処理数は、1つや2つではないわけだ。
一人の人間が、その権に固執すれば、国はおそらく回らない。
②はどうだろう?
やったことではなく、言った事と実績が合っていれば評価する。
そういう方針だ。
言行一致の人間は基本的には信用できる。
だが、国政ではどうだろうか?
「敵を騙すにはまず味方から」という言葉もあるように、
情報は自分の手元には多く、相手には少ない方が良い。
大きな仕事をやる人間ほど、抱えている情報量は多い。
迂闊な事も言えなくなるのが、そういう立場の人間だ。
そうでなくても、臣下にとってこの評価軸はチャレンジ精神を
失わせる。言った事をすればいいのだから、デカいことは言わない。
見方によっては、君主から無理難題を言われて、「やります」と
答えたら実質的な「死刑」になりうる。
こんな恐ろしい評価制度もないだろう。
おそらく会議では、発言しない、目立たないことが生き延びる術になりそうだ。
③はどうだろうか。
職域を守る、しっかりと分業する。一見すると働きやすい職場ともいえる。有難い面もある。
ただ、キャリアアップは無さそうだ。本来、出世するためには、仕事を盗んで、出来る範囲を増やす必要があるわけで、それをしてはいけないのだから、なかなかに厳しい。
いろんなところで、横断的に仕事をして、横のつながりを持った人間が、影響力をもち、大きな仕事を指揮するわけだが、そもそもそういう能力を持たせないのが、この③の目的である。
だからいつまでも君主は、現場にいなければいけなくなるわけだ。
なぜか?
統括する者を置くとして、その統括する者を統括する者が必要で、結局、君主は統括しなくてはならない。
結果として必ず発生する仕事の隙間は、君主が埋めなければならない。
④はどうだろうか?
確かに韓非子の言うことはもっともで、上司の趣味嗜好が分かると、部下は取り入るために、そういう情報を利用する。
接待ゴルフや家族への贈り物とかもそういう類のもので、
好きなものと絡むと、その人物の判断も狂うので、部下にとってのチャンスは増える。
そういう判断のブレを無くすために、君主は役割以上の好悪を出さない。確かに大切だと思う。
一国の君主たるものは、何をするにも配下の手が必要だと思う。
トイレに行くのも、食事をするのも、散歩するのも、結婚するのも
何から何まで部下の手が必要ではないか。
そんな環境にある人間が、物心ついた時から好悪を示さずに生きていくことは可能なのだろうか?
以上の4項目について考えた
君主が超絶有終の機械人間なら、国が運営できるなと思った。
AIなら可能だろう。
韓非子はAI君主が欲しかった。
AI君主が臣下に仕事を割り振り、人間はそれを守るだけ。
そういう世の中なら、韓非子の言う通りいくだろう。
てか、人民から見てもそんなのは、嫌なのである。
情の部分とか、出世欲とか、そういう部分を満たすために
仕事をしている部分もあるわけで、
人間が人間らしく欲をもって動くさまをコントロールすることが
君主の本来の役割ではないか?
無理感が出ているところをまとめる。
①君主がすべてできないと詰む
②部下は黙ってるのが一番
③誰も拾わない仕事は拾わないのが美徳
で、実際問題、君主は、尻を拭くのも配下が必要なので、
①から壊れているわけだ。
できないタスクを抱えた君主とやる気も能力もない臣下。
これで、他国に勝てるのだろうか?
【行動・意識への接続(1つだけ)】
(明日から意識することを1つ)
リスクは高いが、強い組織の長になるためには
この逆をやれば良いかもしれない。
①信賞必罰の権限を委任する。
②評価は、実績のみを見て行う。
③実力主義で役割分担をざっくりと決める。
④自分の好悪をバンバン出す。
これはこれで、ついていくのは大変そうだ。
ブラックなベンチャーは①以外はやっているイメージ。
こう言うのって、明確な答えがあるわけでなくて、
その時々のバランスが必要なのだろう。
そもそもこの4つの項目だって、君主の地位を
固守するのが目的であり、結構極端だと思う。
個か集団か、何を目的にするかで判断軸も変わる。
「何のためにこれをやるのか?」
行き詰ったらそこを考えた方がいいかもしれない。
【保留メモ】
(今は結論を出さない問い)
残念ながらAI君主に人はついていかないと思う。


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