はじめに
現代は、家制度がなくなり核家族が主流となり、個人の力で輝くことがもてはやされる時代です。
しかし、リアルな世界では、私たちは仕事、家庭、趣味、地域活動などなど
さまざまな活動を行うために多数の集団に所属しながら生きています。
個人で輝くことが重視される一方、私たちは日々、複数の集団で異なる役割を求められています。
それ自体は良いことで、例えば一つの集団に依存すると、もしなじめなければ落ち込み、
自己否定に陥ることもあります。
しかし、多数の集団で様々な役割を演じながら生きている我々は、役割疲れをしています。
例えば、職場では上司の前では真面目に振る舞い、同僚の前では冗談を言い、家庭では親としての顔を持つ…といった具合です。
本当の自分ってなんだっけ?自分らしさって何だろうと困惑しがちな世の中です。
では、どうすれば、自分らしさを保ちながら、複数の集団で重宝される存在になれるのでしょうか。
集団適応力とは何か
集団適応力とは、単に「周りに合わせる力」ではありません。
集団ごとに求められる役割を理解し、信頼を得て、自分の能力を発揮する力です。
自然界でも、生き残るのは「見た目が強い個体」ではなく、環境変化に柔軟に対応できる個体でした。
社会でも同じです。環境が変われば、役割や求められる能力も変わる。その変化に対応できる人が生き残ります。
これからの社会では、役割に溶け込むというよりむしろ、自分の軸を駆使して、自分の役割を創出する姿勢が必要なのではないでしょうか。
現代社会における適応の難しさ
現代は、かつてのように「一つの集団に属していれば安定」という時代ではありません。
仕事だけでも、部署やプロジェクトによって求められる役割は異なります。
家庭、友人関係、趣味のコミュニティ…それぞれに違う自分を求められるのです。
その結果、複数のペルソナを使い分ける必要が生まれます。
強制されるわけではなくても、役割を演じる疲れ──いわゆる「役割疲れ」が起こりがちです。
様々な役割を演じるあまり、本来の自分を忘れてしまいます。
子供の時は生意気の盛りだったけれども、中学生で上下関係と敬語を身に着け、社会に出て接客をして、役割を演じて自分ってどんな人だったかなあ。と思う感じです。
地元に戻って、同級生と話すと当時の口調が戻ってくる。ああこんな子供だったなあと。
ただ、大人になった我々は、子供の時のままが「自分らしさ」であるわけがありません。
大人になったら大人になって成長したなりの「自分らしさ」があるはずです。
自分軸を持つことの重要性
では、どうすれば疲れずに複数集団で生き抜けるのか。
答えは「自分らしさ」を見つめなおし「自分軸」を見つけ、持つことです。
自分軸とは、価値観や信念、行動基準のこと。
自分が「やりたいこと」、「やりたくないこと」、「まもりたいこと」を明確にすることです。
どの集団にいても、この軸を基準に行動すれば、ブレずに立ち回れます。
軸があると、単に集団に合わせるだけでなく、「役に立つ人」として認められる存在になれます。
なぜなら、ぶれない人にこそ、役割を与えやすいからです。
ぶれている、言っていることとやっていることが違う人には、人は信用をできません。
結果、そういう人に役割は与えられないのです。
自分軸の具体例
仕事の場で
会議で意見を求められたとき、感情や流行に流されず、自分の価値観に基づいて発言する。
たとえば「効率よりもチームの信頼を優先する」という軸がある人は、数字だけで判断する提案には反対しても、チームの結束を強める行動を積極的にとることができます。
家庭や育児で
夫婦間で育児方針がぶれることもあります。軸がある人は、「子どもにとって安全で安心な環境を最優先する」という信念に従い、具体的な方法は相手と相談しながら調整できます。
趣味やコミュニティで
オンラインや地域のコミュニティで意見が衝突したとき、自分の軸が「学びと楽しみを共有すること」なら、対立しても感情的にならず、建設的な関わりを選ぶことができます。
自分軸を育てる小さな積み重ね
人生はマラソンのようなものです。
最初から全力で走れなくても、一歩一歩を積み重ねれば、必ず前に進みます。
- 今日できることは何か
- 明日までに改善できることは何か
挫折や負けを恐れず、小さな挑戦を積み重ねる姿勢が、自信と成果を生み出します。
逆に挫折を経て自分を見つめなおすことで、「自分がどう生きるのが幸せか」に気づくこともあります。
この小さな積み重ねが、自分軸を明確にして、「自分らしさ」を創造するのです。
まとめ
現代社会での「自分らしさ」は、わがままや好き勝手をすることではありません。
複数の集団で役割を創り、その役割を果たしつつ、自分軸を持ち、等身大で行動すること。
自分軸を持つことで、複数の集団で信頼される存在になれます。
それが、現代社会で重宝され、生き抜くための本質です。
今日も自分軸で小さな一歩を踏み出す──その積み重ねが、確かな『自分らしさ』を作ります。


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