時間が解決してくれるのか | 陸上自衛隊で学んだ悩むべきこと

ポジティブ思考

陸上自衛隊には6年間在籍しておりました。

普通科に所属しておりました。普通科の中でも軽火器です。

つまりは、一般的には「歩兵」と言われる役割をやっておりました。

もう自衛官を辞めて5年以上の月日が経過して細かいことはすっかり忘れてしまいました。

覚えているのが、つらい訓練の時、よく同僚と「時間が解決してくれる」と冗談半分で言い合って励ましあったことです。

一番それが重宝したのが、3等陸曹に昇進するための6ヶ月の訓練です。

本当に、毎日のように「時間が解決してくれる」と言ってました。

確かに、訓練ではどんなにひどい目にあっても、訓練時間に限りがありますので、脱落しなければいつかは終わります。つまり「時間が解決してくれる」のです。

なんとなくこの「時間が解決してくれる」というノリがなつかしくて当時を回想してたとき、思ったのです。

「訓練」以外で「時間が解決してくれること」って無いな…と

びっくりするほど、時間が解決してくれることは、ないのです。

そもそも思い返してみれば、3等陸曹に昇進するための訓練に参加する為に、昇進試験を通過しなければなりません。年齢制限もあります。以外にも狭き門です。

2等陸士から陸士長に昇進するのは、時間が解決してくれますが、陸士長から3等陸曹に昇進するためには、努力と運が必要です。

よく考えると時間が解決してくれない問題だらけです。

実は、陸上自衛官が自ら命を絶つ事件は、割合として民間企業よりも多く感じます。

たった6年間の勤務でしたが、500人ぐらいしかいない連隊ですら、数人の噂を聞きましたし、100人程度の中退でしたが、実際に事件に遭遇しました。

一般企業では、考えられないほど、陸上自衛官が自ら命を絶つ可能性は高いと感じました。

各人の理由はうかがい知ることはできませんが、時間が経てば解決するということではなかったのでしょう。

武山駐屯地にて、新隊員教育隊の教育を終えたとき、挌闘訓練隊鬼ツヨ強面班長が普段は優しいことを一つも言わないのに、「自衛隊を辞めてもいい、でも自ら命を絶つ選択をしないでほしい」といっていたのは、今でも覚えています。

「死」という選択肢がでる兆候としては、これ以外にできない、選択肢がないと思い込んだ状態になっている傾向があると思います。

自衛官は高校卒業後すぐに入れますので、社会を知らない人が多いです。

結果として、他に選択肢がないと錯覚してしまう隊員が多く感じます。

実際、退官後にあっせんされる仕事も待遇もあまりいいものではない気がします。

これは当時の印象ですので、改善されていたら、そもそも印象が間違いだったら申し訳ないです。

ただ、自衛官2年目の時、外出後にタクシーを呼んで、帰隊したときの運転手が、同じ駐屯地を退官した専任曹長だったとお伺いして衝撃を受けたことがあります。

専任曹長は、現場で働く自衛官の中でトップオブトップで自衛官の中の自衛官です。

並みの自衛官では到達できない境地の優秀自衛官です。

当時の私はいたくショックを受けたのを覚えています。

とにかく、それくらい下っ端自衛官の未来は、あまり明るくないのです。

もちろん公務員ですから、うまく資産運用していて不自由なく老後を過ごしている方もいるとは思います。

まあ、公務員ですから、賃金も待遇も時間は解決してくれないんですね。

これらの問題について、一つ気づいたことがあります。

それは「外の社会を経験している自衛官は、案外しぶとい」ということです。

一旦外を見てますから、社会一般の物差しで物事を考えられるのだと思います。

かく言う私も4年制大学を卒業して、一般企業を経験しました。

しかしながら、1年もまたずに挫折して退職した経緯がありました。

寝れるし鍛えて褒められて給料までもらえる陸上自衛隊はまさに天国でした。

私にとっては、陸上自衛隊は、社会へのリベンジをするための修行の場でございました。

もともと退職するつもりはありませんでしたが、

年を取っての入隊だったこと(私は25歳で入隊、自衛官は18歳から入隊が多い)と

昇進試験前の履修前教育という訓練で、肩を脱臼したまま6ヶ月の訓練に参加し、体力測定でソフトボール投げが全然できず、不合格になり、前期教育の最後に脱臼を克服して合格しましたが、今後の自衛官人生の昇進速度を決める成績がかなり悪くなってしまったこと。

この2点を見ても、前述の自衛官の行く先以上に自分の先が見えていたのもあって、それ以外の理由もありますが、それ以外の場面では成績もよかったし、自信も付いてきていたので、「そろそろ社会にリベンジに行くか」と退職をした経緯があります。

これだけ見ても、自衛隊以外の職場を経験していた利点がありましたし、だめでも別のところがあるというしたたかさとわがままさを見ることができますね(笑)

まず、自分に選択肢は無数にあると自覚できることが、大切だと思います。

一度上げた生活水準や名誉を放棄して一からやり直してもそれなりに幸せに暮らせるという知識はかなり大切です。

最悪、日本は生活保護などのセーフティネットもかなり充実しています。生きていけます。

コロナ過で、個人事業主をしてた時も行政の力でかなり助けられましたし、助けてくれる制度はコロナ過でなくてもたくさんありました。

日本は、しっかり調べれば、なんとかなるぐらいには、素敵な国です。

調べて知ることで可能性は増えていきます。

これも時間は解決してくれないのです。

そもそも「解決する」とは、どういう状態なのか。

根本的に物事の結果に正解などないと考えます。

個人個人の生き方に正解などないのですから、自分で考えるしかしようがありません。

自分で選んでここに至るという実感が大切なのだと考えます。

自分の進む方向性を定めて、何かやってみることを決める、または、やらないということを決める。

この決断の結果どうなったかを観察する。

改善が必要だと感じたら、以後どのような行動をすればよかったか考える。

そして、また情報を集めて、次に何をするのか、それともしないのかを決める。

俗にいう「PDCA」サイクルです。

「Plan(計画)」→「Do(実行)」→「Check(測定・評価)」→「Action(対策・改善)」を繰り返すサイクルの事です。

使い古された考えですが、実際に生きていく中で、なんとなく生きているよりは、よっぽど生きている実感が出来る考え方です。

正解のない人生ですが、選択肢を与えられずに、人から強制されたことをするしかないと錯覚すると途端に自分の人生がつまらなく感じてしまいます。

しかしながら、このように何でもいいので、選択肢を調べて、出来ることを考えて、日々どうなりたいかを考えて、何かをやる、もしくはやらないということを「自分で」決めることで、人生を主体的に生きている気になってきます。

目標設定をしているので、少なからず自分が考える最高の生活に、実生活が近づいていきます。

結果、自分が思う「解決法」が手に入ると考えます。

時間に流されていくのではなく、自分で時間の中で泳いでいく、もちろん簡単にはうまくいきませんが、その積み重ねが人生の充足度を高めていくと信じています。

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