使える筋肉と使えない筋肉/論争を終わらせる筋肉の実力の話

健康増進

この記事の目的→「使えない筋肉」論争を終わらせ、筋肉そのものの実力を紹介する。

最近のフィットネスブームで筋肉を鍛えることの優位性が世間で認知されてきたと思います。

10年以上前は「ジムで鍛えている奴、特にウエイトトレーニングばかりしている奴は、脳みそまで筋肉で気持ち悪い筋肉オタク」というイメージが横行していたと思います。

最近ではそんなイメージも世間では薄くなった気がします。

しかしながら、それでもまだ「そんなに鍛えてどうするの?」というご意見や「ボディビル的なデカいだけの筋肉は、スポーツで使えない。無駄な筋肉」というご意見をいただくことはあります。

著者にとって、筋トレは生活の一部であり、もう何の疑問もなく「好きだから」鍛えているので、どうでもいいことになりつつあるのですが、そこに行きつくまで思い悩んだ過程を記事にしたいと思いました。

以下は基本的な論旨です。大まかに3点です。

  • 筋肉の仕事は「ちぢむ」と「ゆるむ」それだけ
  • 筋トレの効果はその種目の負荷に合わせて筋肉が変化するだけ
  • 「使える」「使えない」はその人の目的次第

以上です。

ご興味がありましたら、以下持論を展開しますので、よかったらご覧になってください。

一言で「筋肉」と言いますが、筋肉には、様々な役割があります。大別すると3種類あります。

  • 骨と骨の間にあって、体を動かすのに使われる「骨格筋」
  • 胃や腸などの内臓を機能させる「平滑筋」
  • 心臓を動かすためにある「心筋」

この中で、我々が常日頃「筋肉」と言っている部分は、特殊な事情が無ければ「骨格筋」です。

なので、ここでは「骨格筋」についてお話しします。

「骨格筋」は、200種類近くありますが、それぞれに役割があります。

全ての筋肉は、腱や靭帯を通じて「ちぢむ」や「ゆるむ」ことによって、骨と骨を近づけたり、遠ざけたりすることしかしません。

それ以下でもそれ以上でもありません。

例えば腕を曲げるという動作は、「力こぶ」と言われている「上腕二頭筋」と「二の腕」と呼ばれる「上腕三頭筋」が主に働くことによって動作します。

「力こぶ」を作る時は、「上腕二頭筋」が「ちぢみ」、「上腕三頭筋」が「ゆるむ」ことによって、前腕の骨と肩甲骨が近づくことによって、結果として、腕が曲がり、「力こぶ」ができています。

これに腕を「ひねる」という動作を加えるとき、「上腕二頭筋」と「上腕三頭筋」の仕事だけでは、「ひねる」という動作はできません。

前腕の骨には「橈骨」と「尺骨」という2つの骨があり、それを繋ぐ「回外筋」や「円回内筋」「肘筋」など、マイナーな筋肉の「ちぢむ」「ゆるむ」の作用と前述した「上腕二頭筋」「上腕三頭筋」の作用とで「ひねる」という動きが行われます。実はここで挙げた筋肉以外も働いています。

つまりは、体のどの動作も筋肉の「ちぢむ」「ゆるむ」動作が複雑に影響しあって行われます。

この項目の結論として筋肉のしごとは「ちぢむ」と「ゆるむ」のみということを覚えていただけたら嬉しいです。

筋肉は太ければ強い力を発揮する

筋肉は、太ければ太い(断面積が大きい)ほど、強い力を発揮します。

筋肉は使わなければ、細くなります。

一方で、筋肉を太くするには様々な条件が必要です。

様々な条件が必要ですが、要は「壊れない程度に、その筋肉がもう少し太くないといけない状況」を作り続けることで筋肉は今より少し太くなります。

結果として、筋肉は意図的に作られた状況に適応し、太くなり少しだけ前より強い力を発揮できるようになります。

先述した「壊れない程度に」という言葉が非常に重要で、突然過大な負荷を筋肉に与えると、怪我をしたり、最悪の場合、筋肉や腱、靭帯が断裂します。

怪我をした場合も、固定して治りを待つ必要がありますから、結果として筋肉を細くしてしまいかねません。

筋肉は状況に反応して適応する

筋肉は使えば使うほど、その使い方に適応していきます。

適応には主に2種類あります。

  • 筋肉が動作に慣れる「筋持久力」の向上
  • 筋肉が負荷に耐える「筋力」の向上

要は、筋肉は、長く使えるようになる(筋持久力)し、重いものにも慣れてくる(筋力)ということです。

例えば、一般的な「ジョギング」では、筋肉はそこまで太くなりませんが、長時間足を動かす事に慣れていきます。

しかし「ジョギング」を続けても、より大きな力を必要とする「跳ぶ」という動作の飛行距離を向上させることはほとんどないでしょう。

逆に「跳ぶ」ことを続けた場合、どうでしょうか。

「跳ぶ」距離は向上するかもしれません。

それに伴って一般的に「跳ぶ」為に脚の筋肉は太く逞しくなるでしょう。

しかし、「ジョギング」できる時間は、伸びないと思います。

むしろ筋肉が太くなり、動かすことに必要な心肺能力が大きくなりますから、「ジョギング」は苦手になるかもしれません。

以上の様に、筋肉はその時々の負荷に応じて、形状や能力は、徐々に変化していきます。

筋トレでの筋肉が太くなる手順

「筋トレ」特に、ウエイトトレーニングでは、筋肉への負荷を徐々に強くすることによって、筋肉を太くすることを重点にトレーニングをしていきます。

筋肉がその負荷に慣れていき、太くなっていく過程は一般的に3つのステップを辿っていきます。

  1. 神経促通
  2. 筋持久力向上
  3. 筋肥大

簡単に説明します。

まず1「神経促通」ですが、これは、例えば腕立てなどの動作において、どの筋肉を使ってどのように動かせば、その動作ができるか、体が理解して、効率的に筋肉を使えるようになる段階です。

2番目の「筋持久力向上」ですが、これは、動作に慣れてきて回数がこなせるようになる段階です。筋肉のスタミナが付いてきた状態の事です。

3番目は「筋肥大」です。ついにその負荷に普通に対応できるように筋肉も太くなりました。

こうして太くなった筋肉に対して、怪我をしない程度に負荷を増やして、また1から始めていきます。

これは、我々がこのようにしようという話ではなくて、外部からの負荷という圧力に対して、筋肉が生き残るために自然に備わった防衛本能とも言えます。

筋肉は我々の意思で太くすることは出来ません。

この筋肉自身の防衛本能を理解して、意識的に適切な負荷を与え、休ませ、筋肉の成長サイクルを見守り続けなければ、筋肉は順調に太くならないのです。

筋トレをすると筋トレが上手くなるだけ

ウエイトトレーニングに関して言えば、その種目が上手くなったということが主要な効果です。

筋肉が肥大化したことは副次的な効果と言えます。

ベンチプレスは、一般的に胸と肩のトレーニングと言われています。

ベンチプレスを行い、結果として胸や肩の筋肉が発達した事は副次的な効果と言えます。

バーベルを利用するウエイトトレーニングとして、ベンチプレス、バーベルスクワット、デッドリフトの3種類がBIG3と呼ばれています。

トレーニングの王様として20世紀初期から100年近くもてはやされている有名な3つの種目です。

このBIG3を万遍なく行うと、効率よく全身の筋肉が太くなると言われいます。

ボディビルダーの方は、このBIG3に加えて、体のバランスを考えて様々な種目で体中の筋肉に戦略的に負荷を与え続けます。

その結果、その動作を行うのに必要な筋肉が太くなり、様々なトレーニング種目で重い重量が扱えるようになります。

トレーニング種目の動作も洗練されていきます。

ですが、それ以上でも以下でもありません。

例えば、バーベルベンチプレスと似たような種目で、ダンベルベンチプレスという種目があります。

動作はほぼ一緒ですが、扱う器具が棒状の鉄の「バーベル」か俗に言う鉄アレイの「ダンベル」かの違いがあります。

バーベルは両手で扱うのに対して、ダンベルは各々の手に各自ダンベルを持つので、扱い方が少し変わります。

筋肉への負荷やフォーム、使う筋肉も少し変わります。

結果として、バーベルベンチプレスを高重量で行っている筋肉質な人でも、初めてダンベルベンチプレスを行うと思った以上に重いものはできない結果になります。

ほぼ同じ筋肉を動員して、ほぼ同じフォームの種目でもこのようなことは起こります。

ましてやベンチプレスが強いからパンチが強い。

スクワット(脚のトレーニング)が強いから足が速い。

そういったことは、容易には起こりません。

筋肉が太くなったとて、動作に対しての理解、神経促通、練習を行わない限り、その太い筋肉を活かすことは非常に困難と言えます。

結論として、「トレーニング」すれば「トレーニング」が上手くなるだけということになります。

これまで筋肉というものについて論じてまいりました。

また筋肉が太くなる道筋についても論じました。

このまま進むと筋肉って鍛えても無駄なのかなって思ってしまうと思うので、筋肉のいいところも述べます。

筋肉を鍛えてよい点

まず単純に筋肉を鍛えてよい点を3つ挙げてみたいと思います。

  • 姿勢が良くなる
  • 血流がよくなる
  • 応用が利く

姿勢が良くなる

これは、ウエイトトレーニングしている人が実感しやすいと思いますが、姿勢が悪いと負荷を上げたときに怪我しやすくなります。

結果として、良い姿勢を保つことで、重量向上につながりますので、良い姿勢を保つ習慣が付きます。

また、姿勢を維持するための筋肉も発達します。

例えば背中の筋肉とかお尻の筋肉とか、加齢とともに弱くなりやすいところは同時に姿勢維持にも重要です。

そういったところが強いと加齢に負けずに良い姿勢で生活しやすくなります。

これは筋肉の利点と言えます。

血流が良くなる

筋肉が大きくなると、体中の血の巡りが良くなります。

その結果、老廃物質の流れが良くなりますし、血流がしっかり回れば、体温も良い温度で保ちやすいので、極端なことをしない限りは、免疫も強いですし、冷え性にもなりづらいです。

著者も、雪国で自衛官をやっていましたが、筋量が増加するにつれて目に見えて寒さに強くなりました。

逆に文明の利器に囲まれると汗が止まらないという欠点もあります(笑)

応用が利く

先ほどのダンベルベンチプレスとバーベルベンチプレスの件ですが、バーベルベンチプレスをやりこんで筋肉質になっている人は、何もしていない人よりは圧倒的にダンベルベンチプレスが上手くなります。

これは当たり前ですが、筋肉を鍛えておくと、何もしていない人よりはアドバンテージが大きくなりやすいです。

でかい筋肉は各種スポーツでも応用は効きやすいです。

しかし、各々の筋肉と向き合う筋力トレーニングと全身の連動を不安定な状態で行うスポーツとは、筋肉の使い方、体の使い方は大きく変わります。

応用は効きますが、直ちに適応できるものではないと肝に銘じておかないと筋力の出力が大きい分、大きなけがに繋がりやすいです。

また、筋肉が無い方が良い競技もあります。

太い筋肉がすべてにおいて万能である訳ではないのです。

筋肉は体の機能の一部に過ぎない

結局、筋肉は、動作に対する要素の一部にしか過ぎません。

例としてパンチを挙げます。

強いパンチを撃つ時に必要なのは、下半身を使った腰の連動であり、その力をうまく伝えて速度を維持して肘を伸ばす動作が必要です。

重心移動や力まない事も重要です。

さらに言えば、そのパンチをあてるために、間合いを調節して、適切なタイミングで前に出て、適切なタイミングでこぶしを出すことが重要です。

この一連の動作の中で、筋肉の太さと出力は、要素の一部に過ぎません。

結局、何か動作をする時は筋肉の太さ以上に、頭の使い方の方が重要になります。

「使える」「使えない」は頭の出来次第

結局、筋肉が「使える」「使えない」というのは、自分の頭次第としか言えないという話になってしまいます。

今の時代は、皆さんは筋肉を適切に使わないことが多いので、著者は鍛えとけば色々と便利だと思ってます。

下手なエステとか整形とか変な高価なダイエットより、安価で効果がありますから。

ただ、せっかく「人権」意識がしっかりしているこの世の中ですから、自分の体は自分の思うようにお使いなるのが一番だと思います。

また、別の記事で述べているのですが、そもそもこの世界で「勝ち負け」とか考えても仕方ないので、「使える」というのは、自分で満足していれば、それでいいのではないかと思います。

結局、筋肉は「ちぢむ」「ゆるむ」の機能でしかなくて、筋肉は外見や生活の能力に影響しますから、好きなように活かせばいいのではないかと思います。

人生は100年時代ですから、長く元気でいるためには「筋肉」は最高のパートナーになるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました